✓旗竿地は良くないって、本当?
✓メリットデメリットを知りたい
✓家を建てるときの注意点は?
「旗竿地(はたざおち)」は買わないほうがいいと聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。
旗竿地は、デメリットが強調されて購入をためらいがちですが、旗竿地には整形地とは異なるメリットもあります。旗竿地を上手に活用する方法がわかれば、プライバシーを保ちなが理想の家を建築することも可能です。
この記事では、旗竿地を買うメリットとデメリット、旗竿地の活用法について解説します。旗竿地の良さを理解して、旗竿地を土地探しの候補にしましょう。
旗竿地とは?
「旗竿地」とは、「敷地延長」あるいは「路地状敷地」とも呼ばれ、道路に面した細長い路地の奥にまとまった敷地がある形状の土地のことです。不動産会社では、敷地延長を省略して「シキエン」とも呼びます。文字通り、竿のついた旗のような形をしていますね。
旗竿地は、路地部分が道路に面しているのが特徴です。奥まった土地を有効活用できて、土地の価格を抑えられることから、地価の高い都市部でよく見られます。
旗竿地の場合、不動産ポータルサイトや販売図面に記載されている土地面積は路地部分が含まれているのが一般的です。
土地面積に路地部分が含まれている場合、実際に家を建てられる部分奥まった旗部分の土地面積は、表示された土地面積より小さくなります。
旗竿地のメリット5選
旗竿地には、主に以下の5つのメリットがあります。
- 価格が整形地より安い
- 静かな環境で生活できる
- プライバシーを保てる
- 路地部分を駐車スペースとして活用できる
- 外構費用を節約できる
ここからは、メリットごとに詳しく解説します。
価格が整形地より安い
旗竿地は、土地の売却価格が相場より安い傾向があります。一般的に、長方形や正方形など整った形をした整形地と比べると、旗竿地は安い価格に設定されています。不動産の価格を設定する際、道路に広く接している土地のほうが価値が高いとされているためです。
売地だけでなく、建売住宅の場合も、敷地が旗竿地だと周辺相場より安い価格に設定される場合が多くあります。
相場より安く購入できれば、土地の購入に充てるはずだった予算を住宅の建築費にまわしたり、購入費そのものを予算より安く抑えられたりして、費用の節約につながります。
静かな環境で生活できる
旗竿地は、前面の道路より奥まった部分に家を建てるため、住宅から道路までの距離が長くなります。車の音や通行人の声などが比較的聞こえにくいため、騒音に悩まされずに過ごせるでしょう。
車や通行人の多い幹線道路に面していても、静かな環境を手に入れられるのがメリットのひとつです。
プライバシーを保てる
旗竿地では住宅が道路から離れており、道路と住宅の間に隣家があるため、通行人の目を気にする必要がありません。道路との間に塀や目隠しがなくても、プライバシーを保てます。
また、玄関を開けても目の前が道路ではないため、小さいお子様がいきなり道路に飛び出す心配がありません。お子さまとお出かけする際にも安心ですね。
路地部分を駐車スペースとして活用できる
旗竿地の細長い路地部分は、駐車スペースとして利用できます。旗竿部分が長ければ、縦列駐車で2台以上駐車できる場合もあります。
まとまった土地部分に駐車スペースを確保しなくてもよいため、庭を広く確保することも可能です。整形地と比較すると、住宅を建てる敷地部分を広く利用できるメリットがあります。
外構費用を節約できる
旗竿地は、住宅を建てる敷地部分と道路から奥まったところにあります。そのため、敷地部分と道路との間に塀などを作る必要がありません。
また、道路から住宅が見えにくいので、人目を気にして住宅の外観にこだわる必要がもありません。
結果として、外構コストを節約して、内装に予算をまわすことも可能です。
旗竿地のデメリットと対策法4選
旗竿地は、特徴のある形状をしているため、デメリットを気にして購入をためらうケースが少なくありません。しかし、デメリットを逆手にとって上手に対策できれば、旗竿地を有効利用して住宅を建築できます。
この章では、旗竿地のデメリットと対策法を解説します。
陽当たり・風通しに制限がある
旗竿地は四方を隣家に囲まれているため、陽当たりや風通しが制限されてしまいます。土地を選ぶ基準として陽当たりの良さや風通しを重要視したい場合は、注意しなければなりません。
ただし、住宅の間取りや配置を工夫することにより、陽当たりや風通しを確保することも可能です。例えば、以下のような対策が有効です。
- 2階にリビングを作る
- 吹き抜けを活用する
- 中庭を設置する
旗竿地ならではの工夫をこらせば、こだわりのある間取りやおしゃれな内装を演出することもできるでしょう。
駐車スペースが限られる
旗竿地の場合、路地部分を駐車スペースとするのが一般的です。ただし、路地部分の幅が足りないと、駐車できない場合があるため注意しなければなりません。
住宅を建築する際、法律により路地部分は2メートル以上の幅で道路に接しなければならないと定められています。しかし、ちょうど2メートルの幅しかないと、普通車の場合ドアを開閉できない恐れがあります。
国土交通省の指針では、普通乗用車を駐車するスペースの横幅は2.5m以上必要だと示されています。
車体の大きい車の場合は、さらに広い幅が必要でしょう。ポータルサイトや販売図面に「車種制限あり」と記載されている場合は注意しなければなりません。
一方、幅が足りないために路地部分を駐車スペースとして利用できなくても、次のような活用法を取り入れれば、路地部分を有効活用できます。
- アプローチとして利用する
- 花を飾るなど庭の代わりにする
- 子どもやペットの遊び場として利用する
近年ではDIYをする人も増えており、業者に依頼しなくても、自分でアプローチや庭を造ることも可能です。工夫次第でおしゃれな外観を楽しめます。
建築費が高くなる
整形地に建築する際にはかからない費用が、旗竿地だからかかってしまうケースがあります。
例えば、旗竿地の路地部分の幅が狭いと、建築工事用の重機が敷地内に入れません。そのため、職人の作業が増えてしまい、建築費が高くなる可能性もあります。
また、路地部分にコンクリートを敷いたり、隣地との境界に塀を建てたりすると、費用がかかるでしょう。
路地部分の面積によっては想定以上に費用がかさむ場合もあります。見積もりをよく検討して、路地部分の活用方法を検討する必要があります。
ただし、旗竿地は相場より安く購入できる場合が多いため、総額では購入費用を抑えることも可能です。節約できた資金を外構費用にまわせば、住宅の建築費が高くなっても、予算を超えずに建築できます。
必要なところと節約するところを上手に計算して、建築費用を予算内に抑える工夫をしましょう。
売却時の査定額が安くなる
旗竿地には、価格が周辺の相場より安いというメリットがあります。つまり、旗竿地を売却する際にも、査定額が周辺の相場より安くなります。
ただし、周囲の環境によっては、近隣の旗竿地より売却額を高めに設定することも可能です。
隣地が駐車場や空き地であれば、陽当たりや風通しを確保できます。路地部分の幅が広ければ、駐車台数を増やせるかもしれません。旗竿地でも、環境にメリットがあれば、査定額の大幅なマイナスを避けられます。
また、住宅の設計を工夫することにより、陽当たりが充分確保されていたり土地を上手に活用されていたりすると、購入希望者に良い印象を与えられて早期売却が可能です。
旗竿地の購入で確認すべきポイント
旗竿地を購入するにあたって確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 路地部分の幅
- 前面道路との高低差
- ライフラインの配管状況
旗竿地には、旗竿地ならではの確認ポイントがあります。何を確認すべきなのか理解を深めておくことで、安心して旗竿地を選べるでしょう。
路地部分の幅
路地部分の幅は、旗竿地のメリットにもデメリットにもなるポイントです。幅によっては活用法が変わるため、購入前に確認することが大切です。
なお、路地部分の幅は販売図面と誤差がある可能性があるため、現地に行きメジャーで測ることをオススメします。不動産会社や法務局で測量図を確認できる場合は、住宅を建てる敷地部分だけでなく、路地部分も確認するのを忘れないように気をつけましょう。
前面道路との高低差
旗竿地には、前面道路より土地部分が高いために、路地部分に階段が作られているケースがあります。そのような場合、路地部分を駐車スペースなどに利用するのが難しいでしょう。
また、一定以上の高低差があると、法律により擁壁の設置を義務づけられたり、住宅を建築する際に制限があったりする場合もあります。
前面道路と旗竿地に高低差がある場合は、注意が必要です。
ライフラインの配管状況
1区画の大きな整形地を2区画に分割して売却する場合に多いのが、分割した一方の区画に上水道や下水道、ガスなどの配管がないケースです。
配管がないと、前面道路から敷地内へ配管を引くための費用がかかります。
配管の状況は役所や不動産会社で確認できます。資金計画をたてる前に確認できれば、想定外の出費を防ぐこともできるでしょう。
旗竿地の理解を深めて、上手に活用しよう
旗竿地はデメリットが強調されがちですが、旗竿地ならではのメリットもあります。相場より安い価格で購入できたり、静かな環境でプライバシーを確保できたりして、旗竿地の特徴を上手に利用した住宅を手に入れることが可能です。
また、旗竿地の路地部分は、駐車スペースや庭代わりなどに利用できて、おしゃれな外観を演出するのにも役立ちます。
旗竿地ならではのメリットやデメリットを理解して、土地選びの選択肢が広がるでしょう。